【新刊・在庫あり】ビール片手に僕はこんな本を読んだ vol.2
クラフトビールというものは単に麦芽発酵飲料を指すのではなく、作り手、飲み手の相互コミュニケーションであり、社会の中に生まれる現象です。その意味でクラフトビールは社会的で社交に関する飲み物だと言うことも出来るはずですから、私はクラフトビールは人文社会学の対象だと考えています。ビールは飲むものでありながら、読むものであり、記述するものでもあると思うのです。
ビールを主題とした本を読むことで分かるビールのことはたくさんあります。それには今も高い価値がありますが、ビールが物理的に何であるかを超えてその周縁との関係や受容のされ方、時代的な意義づけなどを意識して著された本は決して多くないように思います。ですから、他の主題であっても、それがビールと何らかの共通点があって読み替えることが出来るのならば、積極的に読み替えて応用してみようと私は考えています。エッセイや小説、学術書でもそれは可能です。もっと言えば、参考になるテクストとして音楽、映画、絵画など時間芸術、空間芸術にも拡張して良いはずです。取り急ぎ本書ではクラフトビールなるものを考えるにあたってこれまでに読んできた本を幾つかご紹介したいと思います。
この「ビール片手に僕はこんな本を読んだ」という企画は主催である沖個人のものとすることなく、外側に開いたものにしようと思っています。ビールを飲み、本を読み、考える。その結果生まれた言葉が誰かに届き、その誰かがビールを飲むこと、本を読むこと、そして考えることについて何かしらの良い影響をを与えるならば嬉しいです。そのループを生む為にはこの本は私個人に閉じることなく、広く寄稿を受け付けるプラットフォームとして機能させ、狭いながらも熱量ある飲み手コミュニティを媒介するものとなってくれることを願っています。
有難いことに今回3名が寄稿して下さいました。弦壱氏、クラフトビール好き太郎氏、まろう氏のお三方に心から感謝申し上げます。
目 次
はじめに 読むと言うこと、飲むと言うこと 5
1.丸山眞男 “日本の思想” 6
2.東浩紀 “一般意志2.0:ルソー、フロイト、グーグル” 8
3.Munchies “The Next Phase of Craft Beer in Japan: Al-Kee-Hol” 10
4.都留康 “お酒の経済学” 13
5.小林盾 編 “嗜好品の社会学 統計とインタビューからのアプローチ“ 18
6.三宅香帆 “「好き」を言語化する技術” 20
7.竹鶴政孝 『ウィスキーと私』 22
2025年8月17日 C106にて初版発表